妊娠中はヨウ素の長期過剰摂取に気をつけなければいけませんが、
昆布だしは毎日摂取しても良いのでしょうか?
また、昆布だしにはどのくらいのヨウ素が含有されているのでしょうか?
こちらでは妊娠中の昆布だしについて紹介致します。
妊娠中昆布だしは毎日摂取しても良いの?
毎日摂取しても良いかについては
昆布だしにどのくらいのヨウ素が含まれているのか知る必要があります。
昆布そのものから出汁を取った場合、昆布の種類などにより多少の違いはありますが、
食品成分表では、昆布だしのヨウ素濃度を52μg/gと記載しており、
出汁をおよそ3ml摂取すると1日のヨウ素平均必要量に達し、
およそ60ml摂取すれば、成人の上限量を超えてくる計算になります。
なお、妊娠中の1日のヨウ素耐容上限量は2200μgとなっているため、
昆布だし40ml程度で上限あたりまで摂取することになります。
詳しくは下記参照を確認してください。
参照:関西大学化学生命工学部栄養化学研究室
参照:厚生労働省
関西大学化学生命工学部栄養化学研究室の論文だけではなく、
日本食品標準成分表2015年版(七訂)も見てみると、
昆布だし100g中にヨウ素は11000μg含まれていることがわかります。
参照:日本食品標準成分表2015年版(七訂)
ですので、短期的に昆布だしを1日1食分(約160~200cc)摂取するのであれば、
問題にはならないでしょうが、毎日それも長期的に上限をオーバーするような量摂取し続けると胎児に影響が出る可能性があります。
ですので、毎日昆布だしを摂取することは控えた方が良いと考えます。
ヨウ素を長期的に過剰摂取しているとどうなるの?
妊娠中にヨウ素を摂りすぎると新生児に甲状腺機能低下が生じることが知られており、
甲状腺機能低下をきたした乳児に関して、母親の妊娠中の昆布製品からのヨウ素摂取量は
2.28~3.18mg/日であると推定されていますので、
日常的に耐容上限量以上のヨウ素を摂取し続けると、新生児及び乳児の
甲状腺機能低下が生じる可能性があると言うことになります。
1日のヨウ素の耐容上限量は妊娠中の場合、2200μgとなっています。
なお、日本人の平均ヨウ素摂取量は約1.5mg/日に達していると推定されていますが、
甲状腺機能低下や甲状腺腫の発生はほとんど認められていないとのことです。
参照:厚生労働省
また、摂りすぎといっても1日や数日摂りすぎていたとしても
問題になることはなく、長期にわたり摂りすぎが続いていた場合に
胎児に影響が出る可能性があります。
妊娠中は昆布だしをなるべく使用しないように
妊娠中はヨウ素の過剰摂取が長期にわたり続くと、
新生児に甲状腺機能低下が生じることがあるため、
昆布だしは基本的には使わないようにし、
代わりに煮干しや鰹節、しいたけなどで出汁を取るようにすると良いでしょう。
これであれば、みそ汁やお吸い物、鍋物などを毎日食べたとしても
ヨウ素の過剰摂取にはなりません。
その他ヨウ素に関する注意点
昆布だしにはヨウ素が多量に含まれていることがわかりました。
当然、昆布自体にもヨウ素が多量に含まれており、
おしゃぶり昆布などは妊娠中は控えた方が良いです。
また、イソジンうがい薬の長期使用は避けてください。
その他、ヨウ素は昆布だけではなく
海藻類に含まれているのですが、昆布が群を抜いてヨウ素含有量が多く、
次いでひじきが挙げられます。
ひじきも毎日多量摂取することのないようにしましょう。
その他、海苔や寒天などにもヨウ素は含まれているのですが、
一般常識的な範囲の量であれば、こちらに関してはヨウ素摂取量の心配はしなくても良いです。
まとめ
昆布だしはたまに摂取する分には特に問題はないのですが、
長期にわたり毎日摂取し続けると生まれてくる赤ちゃんの甲状腺に影響が出る可能性があるため、
基本的には妊娠中は昆布だしは避けた方が良いでしょう。
昆布だしの代わりに鰹節や煮干し、しいたけなどから出汁を取るようにすれば、
ヨウ素の心配もなく料理も美味しくいただけるかと思います。