妊娠中はリステリア菌の食中毒にかかり重篤になった場合、
胎児に影響が出る場合があるため、リステリア菌には注意が必要なのですが、
リステリア菌に感染する確率はどのくらいなのでしょうか?
こちらではリステリア菌の感染率と症状について紹介致します。

スポンサーリンク

リステリア菌の分布

リステリア菌

リステリア・モノサイトゲネス(以下「リステリア」と呼びます。)は、
河川水や動物の腸管内、植物、海水、土壌など広く分布しております。

イメージとしてはどこにでもいる菌だと思ってもらって構いません。
一般的に言われているのが、未殺菌乳、ナチュラルチーズや生ハム、スモークサーモン、野菜、果物などが挙げられますが、
もずくなどの海藻や魚にも存在していることがあります。

リステリアの感染率は?

リステリアの感染率は10万人に1人や100万人に数人と言われるほど、
稀な感染となりますが、妊娠中は重篤化すると胎児にも影響が出る可能性があるため、注意が必要です。

稀な感染とはいえ、感染する可能性があるかないかで言うと、
可能性があるというのが、答えになります。

スポンサーリンク

胎児へ移行する確率は?

リステリアに感染しても必ずしも胎児に感染するというわけではなく、
母体に症状が現れた場合に胎児に感染する可能性があるようです。

主な症状としては、
発熱65%
背部痛21%
頭痛10%
吐き気、嘔吐7%
筋肉痛、関節痛4%
咽頭痛4%
となっており、症状が現れた妊婦さんのうち10~20%が自然流産、50%が早産、10%が子宮内胎児死亡に至るといわれています。

逆に言うと、症状が現れなければ大丈夫と言えます。
参照:アスクドクターズ

感染するとどれくらいで発症するの?

発症しなければ感染したかどうかがわかりませんので、
発症率=感染率となりますので、10万人に1人、100万人に数人という確率になります。
パーセンテージでは、0.65%、発症件数は1年間で83件となっています。
参照:佐野産婦人科

この数字をどう捉えるかで、生ものを食べるか食べないのかが決まります。
気にしない人は普通に刺身などの生ものやナチュラルチーズなどを食べますし、
心配という方は、妊娠中は一切生ものを食べない生活を送っています。

リステリアによる食中毒の予防は?

生ものを食べないことにつきますが、
厚生労働省で提示されている家庭での予防対策としては、
・生野菜や果物などは食べる前によく洗う。
・期限内に食べるようにする。
・開封後は、期限に関わらず速やかに消費する。
・冷蔵庫を過信しない。
・冷凍庫で保存する。
・加熱してから食べる。

というようになっています。
参照:厚生労働省

スポンサーリンク

潜伏期間はどれくらいなの?

リステリア食中毒の潜伏期間は
1日から2ヶ月程度となっており、幅がかなり広いため、
症状が出たとしても早期であれば、原因はわかりますが、
2ヶ月後などに症状が出た場合、通常の風邪なのかリステリア食中毒なのか
見分けが付きません。

診断方法は?

MSDマニュアルプロフェッショナル版ではこのように書かれています。

・発熱のある妊婦の血液,子宮頸管分泌物,および羊水(入手可能な場合)の培養またはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査

・患児の血液,髄液,胃吸引物,胎便,および感染組織の培養またはPCR検査

不明熱のある妊婦では,全例で血液および子宮頸管分泌物を採取し,L. monocytogenesの培養またはPCR検査を行うべきである。新生児の状態が不良で母親にリステリア症がある場合は,臍帯血,末梢血,髄液,胃吸引物,胎便,感染の可能性がある組織,母親の悪露および子宮頸部や腟からの滲出液,胎盤の肉眼的な病変部,羊水(入手可能な場合)の培養またはPCR検査など, 敗血症の評価を行うべきである。

髄液検査では,単核球優位のこともあるが,通常は多形核白血球優位である。塗抹標本のグラム染色では陰性となることが多いが,多形性かつグラム不定性の球桿菌状の形態を示すことがあり,これをジフテリア様の汚染菌として軽視してはならない。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

とあります。

ですので、生ものを食べるなどリステリアに感染するようなことをした場合で、
症状が出た場合(症状が出ていない場合は問題ない)
産婦人科で相談し検査を行なってもらうとよいでしょう。

治療法はあるの?

MSDマニュアルプロフェッショナル版では、

・アンピシリンとアミノグリコシド系薬剤の併用

新生児の治療には,アンピシリンとアミノグリコシド系薬剤を併用する( Professional.see table 新生児に対する主な注射用抗菌薬の推奨用量および 新生児における主なアミノグリコシド系抗菌薬の推奨用量の表を参照)。通常は14日間(髄膜炎には21日間)の投与で十分であるが,至適な治療期間は不明である。その他に使用可能な薬剤としては,アンピシリンまたはペニシリンとリファンピシンまたはトリメトプリム/スルファメトキサゾールの併用,トリメトプリム/スルファメトキサゾール単独,メロペネムなどがあるが,これらの薬剤はまだ十分に評価されていない。

引用:MSDマニュアルプロフェッショナル版

とあり、治療はできるようです。

スポンサーリンク

生ものやナチュラルチーズを食べてしまった場合の対処法はあるの?

残念ながら対処法はありません。
食べてしまったものは仕方がないので、気を落とさず
次から気をつけるようにすれば良いです。

何か症状が出た場合、(例えば急な発熱など)
産婦人科で診てもらうようにしましょう。

逆に言えば、症状が出なければ何も問題はありません。

日本で流通するものは安全と言うが・・・

日本は海外と比べて、ウイルスや菌に厳しい国ですが、
それでも、時々、食品から菌が検出されたとして
回収が行なわれているのが現実です。

日本で流通するものは安全だという医師もおり、
気にする必要のないレベルなのかもしれませんが、
可能性は0%ではないので、過信してはいけません。

まとめ

リステリアの感染率は100万人を対象とした場合、
0.65%ですので、発症するのは極めて稀なことです。
この数字をどう捉えるかで、お寿司や刺身、海産物などの非加熱のものや
ナチュラルチーズなどを食べるかどうかが変わってきます。

とはいえ、妊娠中に発症した場合、胎児にも感染する可能性があり
最悪死に至る可能性もありますので、心配であれば、
生ものなどリステリアが存在する可能性のあるモノは避けた方が良いでしょう。

万が一食べて心配な場合は、症状が出なければ何の問題もありませんので、
潜伏期間が過ぎるのを待つしかありませんが、
それによりストレスがかかるような場合は、かかりつけの医師に相談してください。

もう一度言いますが、感染する可能性は極めて稀です。

おすすめ
スポンサーリンク