アブラムシはお尻から甘露と呼ばれる甘い蜜をアリに提供する代わりに
てんとう虫などの天敵から守って持っており、これを共生関係と言うのですが、
アリの裏切りはあるのでしょうか?つまりアリがアブラムシを補食することはあるのでしょうか?

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アリの裏切り?アブラムシを補食するのか?

アリとアブラムシ

裏切りと言っていいのかどうかわかりませんが、
アリはアブラムシを補食することがあります。

蜜をたくさん出してくれるアブラムシには
アリの巣仲間認識物質である体表炭化水素(CHC)という目印を付けて、
攻撃しないようにしているそうです。

つまり、蜜をあまり出さないアブラムシは攻撃対象になり、
食べてしまうようです。

選択的に捕食してアブラムシを間引いているという説もあるようです。

蜜を出さないから食べてしまうというのは、弱肉強食の世界を感じさせますね。

これには、アブラムシの増殖の早さが問題になっていると考えられます。

参照:日本生態学会第60回全国大会(2013年3月,静岡)講演要旨

アブラムシの増殖は尋常ではない

まずアブラムシはメスだけで増殖することが可能で、
交尾も受精も必要なくメスは減数分裂せず、細胞分裂のように卵を作り出すことが出来るのです。
簡単にいうとクローンを産むことができるのです。

これを単為生殖というのですが、交尾したり受精したりという時間をかけない分繁殖が早くなります。

さらに、お腹に子供が出来たときに、すでに子供のお腹の中には子供が誕生しています。
母親からすると、赤ちゃんが生まれた段階でもう孫が出来ているという状態です。

生まれた幼虫は10日で成虫になり食事が豊富な場所なら1週間で1匹が100匹近くの子供を産むそうです。
その子供がさらに増えて2週間後には約1万匹。
そして4ヶ月後にはさらに増えてアブラムシの体重の合計が
地球の質量を上回るというとんでもない数になります。

つまり、アブラムシは地球の食糧を全て食べ尽くしてしまう能力を持っていると言うことになるのですが、
実際は植物にくっついているアブラムシを見るだけで、そこまで頻繁に見ることはありません。
それにはアブラムシの弱さが関係しており、天敵であるてんとう虫や寄生ばちなどに多く捕食されているため、
そこまで増殖することはないのです。

それに加えて、蜜がでないアブラムシはアリに補食されるので、
そこまで繁殖しないように、おそらく保たれているのだと思います。

アリの裏切りはアブラムシの繁殖を抑えている

アブラムシの繁殖は尋常ではないくらい繁殖していくため、
てんとう虫や寄生ばちなどの天敵に食べてもらわないと間に合わないくらいです。

また、アリも蜜をくれる代わりにアブラムシを天敵から守るのですが
蜜がでなければただの餌と化してしまいます。

これにより、アリはアブラムシを選択的に補食してアブラムシの数を調整しているとも考えられます。

まとめ

アリはアブラムシから蜜をもらう代わりに天敵からアブラムシを守るのですが、
蜜があまり出ないアブラムシは簡単に裏切り捕食してしまいます。
ですが、これはおそらくアブラムシの尋常ではない繁殖を抑える働きがあるのだと考えます。

これにより均衡が守られているのではないでしょうか。

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